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ID管理とは
ID管理とは、システムやサービスを利用する際に必要となるユーザーIDと認証情報を一元的に管理する仕組みである。
従業員や外部パートナーが利用する様々なシステムに対して、 誰が、どのリソースに、どの権限でアクセスできるか を制御する役割を担う。
クラウドサービスやリモートワークの普及により、ID管理の重要性はますます高まっている。
ID管理の主な目的
1. セキュリティ強化
- 不正アクセスやアカウント乗っ取りを防止
- MFA(多要素認証)やSSO(シングルサインオン)により安全性を確保
2. 運用効率化
- ユーザーアカウントの発行・削除を自動化
- 部署異動や退職時のアカウント管理工数を削減
3. コンプライアンス対応
- アクセス権限の適正化により内部統制を強化
- 監査ログや証跡管理により法規制に対応
ID管理の仕組み
シングルサインオン(SSO)
一度の認証で複数のサービスにアクセスできる仕組み。
ユーザーの利便性を高めると同時に、パスワード使い回しによるリスクを低減する。
多要素認証(MFA)
パスワードに加え、ワンタイムパスコードや生体認証を組み合わせることでセキュリティを強化する仕組み。
プロビジョニング/デプロビジョニング
ユーザーの入社・異動・退職に合わせて、必要なアカウントや権限を自動で付与・削除する仕組み。
アクセスレビュー
定期的にアカウントや権限を見直し、不正や過剰権限を排除するプロセス。
ID管理の導入メリット
- セキュリティリスクの低減
アカウント管理の不備による情報漏洩を防ぐ。 - 業務効率の向上
アカウント発行・削除の工数を削減し、IT部門の負担を軽減する。 - ユーザー利便性の向上
SSOによりパスワードを何度も入力する必要がなくなる。 - コンプライアンス強化
誰がいつどのシステムにアクセスしたかを追跡可能にし、監査に対応できる。
代表的なID管理サービス
- Microsoft Entra ID(旧Azure AD)
クラウドサービスとの親和性が高く、Microsoft 365との連携に強み。 - Okta
豊富なSaaS連携と高い拡張性を持つリーディングサービス。 - OneLogin
直感的なUIと多様な連携機能を持ち、中堅〜大企業で広く採用。 - Ping Identity
大規模システムや金融機関向けに強みを持つ。
まとめ
ID管理は、セキュリティ対策と業務効率化を両立させる企業に不可欠な仕組みである。
特にクラウド利用が拡大する中で、 「誰に、どの権限を与えるか」 を明確にすることは組織運営の根幹を支える。
導入の際は、自社のIT環境や業務プロセスに最も適したサービスを選択することが重要である。